五木寛之「風の王国」

svelandski2018-06-03

日 旧暦 4 月 20 日 大安 丙寅 七赤金星 Ingemar Gudmar V22 25316 日目

四月に友達と二上山に登ったことはその頃のブログに書いたけれども、その時に友達のひとりから勧められた本が五木寛之の「風の王国」(新潮文庫)。作品は昭和60年に上梓されてゐる。僕は全く知らなかったが、今頃になって読んでみた。しょっぱなから二上山仁徳天皇陵が出て来るので、オヤオヤと思って読み始めた。この本を読んでからあの二上山に登ったのであれば、また違った感慨も得られたかしれない。古代、明治時代、現代のことが折り重なる様に出て来る物語の展開の中で、現代日本が抱へる問題を読者に問ひかける様でもある。明治時代は日本が近代国家として出発した時代で、一般には輝かしい時代として評価されることが多いが、暗部も色々とあって、単純に良かりし時代と決めつけてはいけないと思ふ。物語はフィクションであるけれども、一つの場所に安住しない生き方をする人たちが居たことは忘れない方が良いと思ふ。この作品が書かれてから既に30年以上も経過してゐるので、現代の日本の問題はより複雑化してゐると思ふ。読後感としては飛躍するかもしれないが、現代の日本ではホームレスが増え、さらに、世界的な規模で流浪の民が増え続ける。その様なこれからの時代に、僕たちはどうすべきなのだらうかといふこともふと思った。