スイカの味

svelandski2018-06-05

火 旧暦 4 月 22 日 先勝 戊辰 五黄土星 Bo V23 25318 日目

スウェーデンにもスイカはある。交通系ICカードのことではない。食べる方のスイカである。スーパーなどで半月状に切って売られてゐる。我が家でも時々買って食べる。食べながら子供の頃に食べたスイカの味を思ひ出す。冷蔵庫などなかった時代であるから、井戸水で冷やして食べたものだった。一人で食べることはなく、いつも家族の誰かと一緒に食べた。大きめのまな板の上で包丁で切って食べる。塩を少しふると甘みが増す。一切れ食べて、もっと食べたいと思ったら、また次の一切れを食べる。また食べる。ついつい食べすぎになるかもしれないのだが、もうこれくらいで良いかな、と思へるところまで食べて、手ぬぐひで口の周りを吹く。野蛮な感じはあるが、実に贅沢な食べ方であった。現代のスイカはサイコロ状に切られてガラスのお皿に盛られて出てくる。それをフォークで刺して食べる。誠に上品であるけれども、僕は子供の頃に食べた、あのかぶりつきの、食べ放題のスイカの味が忘れられない。文明の中に生きると、人は野生への回帰を憧れるのかもしれない。